コンセント火災を防止する感熱・トラッキングお知らせコンセント

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もしも自宅から出火したらと思うと恐ろしくて考えたくもありません。

が、しかし、実際に火災が発生したとしたら、その時、自分はどんな行動がとれるのだろうか……

と考えつつ、そんな事態に直面しないよう、わが家では「火の元」の後始末には最大限の注意を払って生活しています。

ただ、「火の元」という言葉からイメージするのは、大多数の人が、

直接火を扱う場所としての台所やストーブなどの暖房器具を思い起こす事が多いのではないだろうか。

しかし意外に思うかもしれませんが、実は日頃から使っているコンセント(配線器具)にホコリが溜まることで起こる「トラッキング火災」や、

さらにはコンセント内部の刃受バネと電源プラグの接触部で発生する

金属接続部の異常過熱で出火するケースが多いという深刻なデータの報告もあります。

そこでここでは、これらコンセントに起因する電気火災を防止するためにPanasonicが開発した

「感熱・トラッキングお知らせコンセント」という配線器具を以下にご紹介します。

感熱・トラッキングお知らせコンセント
感熱・トラッキングお知らせコンセント

感熱・トラッキングお知らせコンセントとはどんなコンセント?

さて、Panasonicの感熱・トラッキングお知らせコンセントとはどんなコンセントの事を言うのだろうか。

これを一言でいうと、それは「コンセント内部の刃受バネとプラグ(栓刃)に生じる温度変化を検知すると音と表示灯(ランプ)で警報を発し、

自動で電流を遮断する機能を持ったコンセント」ということが言えます。

※ 適合プレート
  • WTC7101W (ラウンド)
  • WT8101W (スクエア)

パナソニックは、何故このようなコンセントを開発したのだろうか。

実は「コンセントとプラグが火元となる火災の80%が

金属接続部の異常過熱とトラッキングから発生しているとの実態(東京消防庁)がある」ことから、

このような電気火災を未然に防ぐために開発したといいます。

金属接続部の過熱とトラッキングに関しては、これ以降に説明するとしまして、

ここでは「感熱・トラッキングお知らせコンセント」各部の名称と機能について紹介します。

感熱・トラッキングお知らせコンセント
① お知らせ機能(ブザー・表示灯)
  • 使用中の電気機器の電源を遮断する前に、ブザーと表示灯で異常を知らせる。
② テスト/ブザー停止ボタン
  • ブザー音を停止させるとき、長押し(約1秒)
  • 正常時に戻すとき、単押し(1秒以内)
③ セットスイッチ(遮断機能)
  • 異常過熱検知後、コンセント回路を遮断する。
④ 温度センサ内蔵
  • コンセントの温度変化を見守る。

実はコンセント内部にある金属接続部(刃受バネ)の異常な過熱は、

挿し込んだプラグ(栓刃)との接触不良やタコ足配線、プラグの変形などが原因となり発生することが分かっている。

では、コンセントが異常に発熱した時、この感熱・トラッキングお知らせコンセントがどのように働くかというと、以下のようになります。

先ず、
④の温度センサがコンセント内部の異常な発熱を検知すると、
①の音とランプで異常を知らせる。

普通、在宅している場合はここで異変に気付くことができる。

セットスイッチの遮断機能が働き、自動で電流を遮断
セットスイッチの遮断機能が働き、自動で電流を遮断

そして、さらに温度が上がり続けると、
③セットスイッチの遮断機能が働き、自動で電流を遮断(切)する。

もし留守中に温度が上がったとしても、この遮断機能が働くので安心です。

また、通電して電源プラグ付近の温度が上がり始めトラッキング状態を検知しても、

のセットスイッチが働き、直ちに電流を遮断する事ができる。

おすすめの設置場所

さて、この「感熱・トラッキングお知らせコンセント」の設置場所として最も適した場所はどこかというと、

それは「長期間電源プラグを挿したままで抜くことのない冷蔵庫や電子レンジ、そして洗濯機にテレビ」などの場所がおすすめです。

尚、このコンセントは、既設のコンセントから取り替えもできるのでリニューアルにもおすすめです。

また、エアコン用としては、下の15A・20A兼用コンセント(100V/200V)もあるので、現場に合わせて選択するとよいでしょう。

そして以下に示した品番はアドバンスシリーズのものですが、実はこの品番にはプレートがついていない(別売)ので注意してください。

因みにプレートの品番はWTA7101WKです。

エアコン向け
左)15A・20A兼用(100V)右)15A・20A兼用(200V)
エアコン向け
左)15A・20A兼用(100V)右)15A・20A兼用(200V)
WTL35113W (15A・20A兼用)_100V
WTL35143W (15A・20A兼用)_200V

そして、この「感熱・トラッキングお知らせコンセント」は住宅以外にも、

工場、歴史的建造物など、火災を発生させてはいけない場所にはぜひとも設置したいものです。

電気火災が起こる主な原因はコレだ!

さて、「コンセントから火が出るなんてとても信じられない!」という人もいると思う。

でも普通に考えてみれば、コンセント自体はガスコンロのように直接火を扱うものではないので、

まさかそこから火が出ると思わなくても何ら不思議ではない。

しかしコンセントというのは、設置場所や使用状態に依っては出火に至る危険性も非常に高くはらんでいるので、

その使用にあたっては十分に注意を払うことが必要です。

では、この電気火災が起こる主な原因とは何なのかというと、先ほども述べたように

トラッキング火災や消費電力の大きな機器を複数つなぐことで起こるコンセント内「金属接続部の異常過熱」。

また、タコ足配線や、変形した電源プラグの使用。加えて、ペットのいる部屋、水槽のそばにコンセントがある等が主な原因として挙げられている。

この記事を読んでいる人の中には、「え~っ、本当?」って疑問を抱く方もいると思いますが、その根拠を示すのが下のグラフになります。

電気火災の実態内訳
電気火災の実態内訳

このグラフは、「電気設備機器による発火源と経過(平成26年版~令和2年版)をもとに

パナソニックが作成した「コンセントとプラグが発火源による電気火災の内訳(東京消防庁管轄)」です。

これを見ると、金属接続部の過熱が60%、トラッキングが19%となっており、

コンセントやプラグが火元となる火災の、およそ80%が金属接続部の異常過熱とトラッキングから発生している。

私のこれまでの認識だと、火を扱うキッチンや電気ストーブのほうが発火源としては断然多いと思っていました。

ですが、コンセントや電源プラグに起因する火災のほうが電気ストーブのそれよりも多いというのは、全くの予想外でした。

電気設備機器による発火源と経過グラフ
電気設備機器による発火源と経過グラフ

さて、トラッキングという言葉は、最近テレビやネット上でも盛んに出てきているワードなので、

その意味をご存じの方も多いのではないかと思います。

また「金属接続部の過熱」という新たな言葉も出てきました。

そこで、この両者が、どのようにして火災に至るのかというメカニズムも確認しておきたいと思う。

トラッキング現象とは何?

どこのお宅にも必ず設置されている超~便利な電源コンセント。しかしこの便利なコンセントにも弱点がある。

それはトラッキング現象と呼ばれるものが発生するからだ。

実はコンセントに電気機器の電源プラグを長い間挿し込んだままにしておくと、

最悪な場合トラッキング現象が発生し、しまいには火災に発展することが分かっている。

どういう事かというと、例えば電源プラグをコンセントに挿し込んでおくと、

いつの間にかプラグとコンセント間には、下画像に示すように隙間ができる事がある。

コンセントとプラグの隙間に埃が溜まる
コンセントとプラグの隙間に埃が溜まる

この隙間ができる要因としては「コード自体の重み」や「タコ足配線」、時には電源コードに足を引っ掛けて隙間ができる場合だってある。

しかし、これら隙間になった状態をそのまま放置しておくと、この隙間には徐々にホコリが溜まります。

そして溜まった埃が空気中の湿気を吸収すると、この両刃間は電気を流しやすい状態へと変化していきます。

でも心配なのはこの現象が繰り返されると、これまでに溜まったホコリは最終的に炭化し、より電気を通しやすくなるという点です。

もしそうなると、通電している電気によってショートし、最終的には発火してしまう。この事をトラッキング火災と呼んでいる。

ただ、厄介なのは、残念ですがこればかりではないのです。

実は電気機器の電源がONであろうがOFFであろうがそれ自体には関係なく、

ただ単にコンセントにプラグが挿し込まれた状態でもトラッキング現象を誘発する原因となるという点だ。

そのため、こういった事態を防止する観点からも、必要のない電気機器の電源プラグは抜いておくとか、

またトラッキング防止カバーを取付ける等の対策を講じておくというのも賢明な方法だと思う。

実は、このように偉そうな事を言っている私も、当初は”たかがコンセント”の事じゃないかと思っていた。

しかしこのような話題に真剣に向き合ってみると、事の重大さがよく分かり認識不足を反省している。

そしてこれを機に、これからは定期的にコンセントの状態を確認し、

もしホコリが溜まっているようであれば、そのホコリを取り除き、

日々安心して生活できるようにしなければと思っている。

※ 適合プレート
  • WTC7101W (ラウンド)
  • WT8101W (スクエア)

金属接続部の過熱とは

おっと、いきなり耳慣れない”金属接続部の過熱“と言われても、一体何のことだかさっぱり分からない!と言う人もいると思う。

そこで、この金属接続部の過熱とは何なのかを、下のPanasonic製埋込ダブルコンセント(フルカラー2個口)を使用して説明します。

分解したダブルコンセント
分解したダブルコンセント

上の画像はダブルコンセントを分解したものですが、これらがコンセントを構成している各部品と名称でして、以下が各部品の用途になります。

① 取付枠
  • 壁のボックスへ取付ける時に上下の穴を使用して固定する。
② カバー
  • ボディの上に被さっている絶縁体
③ ボディ
  • 刃受バネ、釦、錠バネの土台となる絶縁体。
④ 刃受バネ
  • プラグの受け入れ部。
⑤ 釦(ボタン)
  • 線を抜き取る時に、このボタンを押してロックを外す。
⑥ 錠バネ
  • 電線(VVF等)が差込まれると、このバネがロックする。

実を言いますと、私はこれまでに、わざわざコンセントを分解してまで中を覗こうという気持ちはありませんでした。

なので、内部がどうなっているかは正直なところ分かりませんでした。ですが、この記事を書くにあたって、

一度は内部を確認しておかないと正確な記事はかけないなと思い分解してみましたら、意外にも部品点数が多かった。

おっと、少し横道にそれたので本題に戻りますが、実はコンセントを構成している部品の中でも、

過熱に最も関わりの深い部品というのは、やはり刃受バネです。

というのも、本来、電源プラグの栓刃(せんば)と、コンセント内部にある刃受バネ(プラグ受けとも言う)というのは、

栓刃を差込んだ時、ピッタリと密着するように作られており、下の画像がその状態を示したものです。

刃受バネが「栓刃」を両側からガッチリと挟み込んでいる
刃受バネが「栓刃」を両側からガッチリと挟み込んでいる

この画像は取付枠とカバーを取外し、内部が見えるようにしてからプラグ(栓刃)を挿し込み、その状態を撮ったものです。

実際、この画像を見ても分かるように、刃受バネが「栓刃」を両側からガッチリと挟み込んでいるのが見て取れると思います。

一応、これが正常なコンセントの刃受バネと栓刃の密着状態です。

ところが、長期間にわたりコンセントを使い続けていると刃受バネの弾性が劣化するうえ、

刃受バネ部の円形をした突起も徐々に摩耗していきます。

コンセントの内部の部品
コンセントの内部の部品

なぜこういった事が起こるかというと、私たちは電気製品を使用する時、

電源プラグを「挿し込んだり・引き抜いたり」という動作を繰り返しますので、

結果的には金属同士の接触部は徐々に摩耗し隙間が生じるということです。

したがって、そんな状態のコンセント(刃受バネ)に、プラグ(栓刃)を挿し込んでも、

双方の接触部は緩い(接触不良)状態なので電気抵抗が増大することになります。

そうすると、その電気抵抗のために、刃受バネと栓刃には熱(ジュール熱という)が発生しますが、

実は、このジュール熱がコンセント内部で発生するために、金属接続部が”過熱”すると表現しています。

このような理由と火災予防の観点から考えても、”抜き差しがゆるくなった”コンセントは、早い段階で交換するようにしたいものです。

※ジュール熱とは、導体に電流を流すと導体の抵抗(上記の場合は刃受バネと栓刃)の為に熱が発生する。この発熱量は電流値の二乗に比例するそうだ。

1つのコンセントに消費電力の大きな機器を複数つながない

普通、自宅の壁に設置されている一般的なコンセントというのは、プラグの差込み口が2口のコンセント(ダブルコンセント)が多いと思います。

ですが、この1つのコンセントに流せる許容電流(A=アンペア)というのは、2口(1口・3口でも同じ)合計して1500W(15A)までです。

例えば、そのコンセントへ消費電力の大きな電気ストーブ(1200W)とコタツ(600W)をつないだとすると、

その消費電力量の合計は1800W(18A)になります。

これでは本来コンセントに流すことのできる許容電流15A(1500W)を3A(300W)もオーバー(過電流)してしまいます。

タコ足配線・消費電力の大きな機器を複数すなぐのはダメ!
タコ足配線・消費電力の大きな機器を複数すなぐのはダメ!

でも、だからといって分電盤の分岐ブレーカー(配線用遮断安全ブレーカー)が直ぐに落ちる(切れる)というわけではありません。

なぜなら、この分岐回路は一般的に20Aまで流せるからです。

では、許容電流値をオーバーした「300W=3A」はどうなるかというと、

実はコンセント(刃受バネ)や、栓刃・電線などが徐々に発熱していく原因となります。

そして最悪な場合、これらコンセントや電線は焼損することにつながります。

「ひえ~っ」と驚かれた方もいると思いますが、上記の数値は、単なる一例を示したものにすぎません。

なので、この数値以上の電力を消費する電気機器(家電製品)を一カ所のコンセントで使用したり、

また「タコ足配線」をしたりといった事は絶対にやめましょう。

栓刃(プラグ)に穴が開いているのはナゼ?

プラグの栓刃には直径3㎜の穴が開いているのをご存じだろうか。

この穴は栓刃の根元から11.7㎜の箇所に設けてありますが、何のために開いているのか分かりますか?

実は、私も知らなかったので調べてみました。

結論から申しますと、125V15Aプラグの形状は、

「電気用品の技術上の基準を定める省令(経済産業省令)で規定しているから」というのが理由です。

電源プラグ(栓刃)の穴はなぜ開いている?
電源プラグ(栓刃)の穴はなぜ開いている?

私が考えるに、いや誰が考えてもそうだと思うが、要は電源プラグをコンセントから抜けにくくする為の一つの工夫ではないかと思う。

何故そう思うのかという根拠としては、コンセントの刃受バネを見ると分かります。

上記に示した「丸く拡大した刃受バネ部の画像」を見てください。少し凹んだ円形の部分があると思います。

その部分は刃受部の内側に突起しており、栓刃の円形がその部分まで到達すると、栓刃の穴に入るようにできています。

そしてもう一点の理由は、プラグの自重(コード等の重み)でコンセントからずり落ちるのを防ぐことを目的としているようです。

※ 適合プレート
  • WTC7101W (ラウンド)
  • WT8101W (スクエア)

以上簡単でしたが、感熱・トラッキングお知らせコンセントを取り上げてみました。

コンセントは十分に注意して使用しましょうね。