ここ数年の間、大きな地震が起きたあとにテレビやラジオから聞こえてくるのは感震ブレーカーという耳慣れない言葉。
この感震ブレーカーは一体何をするものなのでしょうか。
実はこの感震ブレーカー、震度5強以上の揺れを感知して分電盤の主幹漏電ブレーカーを自動的に遮断し
通電火災を防止するための装置です。
そこでここでは、アース付きコンセントに挿し込むだけで通電火災防止に役立つ感震ブレーカー震太郎を紹介します。
感震ブレーカーはどこの家の分電盤にも設置されてるの?
普通、ブレーカーといえば分電盤に組み込まれている漏電ブレーカーや
照明とかコンセント用のブレーカー、それにエアコン専用のブレーカー等を思い浮かべると思います。
しかしこれらのブレーカーは漏電や過電流には反応しますが、地震の揺れを感知して電源を遮断するということはできません。
一方感震ブレーカーには加速度センサーというものが内蔵されており、
これによって地震を検知し信号を出力することで分電盤の主幹漏電ブレーカーを切ることができます。
ただ残念なことに、どこのお宅の分電盤にも感震ブレーカーが設置されているかというと、そうではないのです。
また、なぜ震度5強以上の地震を感知して、主幹漏電ブレーカーを切る必要があるのだろうか?
その目的を一言でいうと、通電火災を防止するため!です。
では一体、この通電火災とは何ぞやって事になるのですが
例えば過去の大震災を振り返ってみても分かるように、大規模な地震が発生した時には広範囲にわたって停電が発生しています。
そしてその後、停電が復旧し通電したのを機に、多くの住宅からは電気が原因の火災が発生しており
その火災のことを通電火災と呼んでいます。
要因としては、地震の揺れによって屋内の電気配線が損傷、また断線ショートし火花が散って発火。
また転倒したままの暖房器具(例えば電気ストーブ)に通電され火災になるといったケースなどが調査から分かっています。
そこで、こういった通電を機に発生する火災を防ぐには分電盤に設置されている主幹漏電ブレーカーを自動的に切って
電気を止めることが通電火災を防止するうえで非常に大事になります。
しかし残念なことに大多数の住宅の分電盤は未だに感震ブレーカーの機能がないものが多いというのが実態です。
そこでこういった状況を改善する方法として感震ブレーカーの機能を持った機器を設置する必要があります。
そこで電気工事士が行うような専門的な工事ではなく、アース付きコンセントに差し込んでおくだけで
感震ブレーカーとしての機能を発揮する震太郎という感震ブレーカーがあるので以下に紹介します。
感震ブレーカー震太郎はアース付きコンセントへ設置して動作する
初めにお伝えしたいのは、この震太郎は下の画像に示す、アース付きコンセントへ設置することで動作するということを理解してください。
もしアースの付いていないコンセントへ設置した場合は地震が起きても動作する事はありません。
これは動作のメカニズムが次のようになっているからです。
まず感震ブレーカー(震太郎)が震度5強以上の地震を検知します。
すると疑似漏電信号というものが出力され、アース側へ約50mAの疑似漏電電流が流れます。
そしてそれを分電盤に設置されている主幹漏電ブレーカーが漏電として検知し電源を遮断することで住宅内は全て停電となります。
このように漏電ブレーカーが漏電と検知するためにはアースがとても重要な役割を果たしますので、
アース付きコンセントにしっかりと接続したうえで使用するようにしましょう。
またアース付きコンセントがどこに設置されているか分からないという人は
洗濯機や冷蔵庫などが設置してある水回り部分を確認してみましょう。
接地用端子付コンセントの場合は本体のアースピンを外そう
上記画像を見ても分かるように、コンセントには接地極付と接地用端子付というタイプがあります。
接地極付コンセントの場合、震太郎の3P電源プラグを差し込むだけで取り付けは完了しますが
もう一方の接地用端子付コンセントにはアースピンが邪魔になって差し込むことができません。
実はそんな接地用端子付コンセントにも取り付けできるように
本体のアースピンはネジ式になっていて、取り外すことができるようになっています。
外し方は、アースピンを指先でつまんで反時計回りに回転させて外します。
外した後は震太郎のアース端子とコンセントのアース用端子間を付属のアース線で繋げば、あとはコンセントに差し込むだけです。
コンセントへの取付けと抜き取り時は必ずキャンセルボタンを押そう!
普通、マニュアルをしっかり読めば間違った手順で設置することは避けられると思います。
でもこの感震ブレーカーのように、ただコンセントに差し込むだけで設置が完了する機器だと
「マニュアルを読むまでもない!」と高を括ってしまうことがあります。
しかしこの震太郎をコンセントに設置する場合「本体の左側面にあるキャンセルボタンを押しながら差し込む」という注意書きがあります。
これはコンセントから抜き取る時も同様です。
なぜかというと、もしキャンセルボタンを押さずにコンセントへ差し込んだり抜き取ったりすると、
分電盤の「ブレーカーが強制遮断される場合がある」からということです。
もしそうなると、当然ですが全ての部屋が停電状態となってしまい
パソコンやゲーム機、録画予約中のレコーダー等の機器類に影響を及ぼすこともあります。
できればテストボタンを押してブレーカーが切れるのをテストするといったこと以外は
こういった事態を招かないように、多少面倒くさくてもマニュアルには目を通しておきたいものです。
最後に本体のテストボタンを押して確認
では問題なく感震ブレーカーの設置ができたら震太郎本体のテストボタンを押して
分電盤の漏電ブレーカーが遮断されるかどうかの動作確認を行いましましょう。
テストボタンを押すと、感震状態を強制的に実行するので、実際に漏電ブレーカが遮断されます。
そのため電源が遮断されることで影響を及ぼす恐れのあるPCやデコーダー、ゲーム機などは
事前に安全対策を行ってから実行しましょう。
おっと、その前に分電盤が何処に設置されているか、ちゃんと確認しておきましょう。
探し回って停電時間が長引いても困りますからね。
漏電ブレーカーが遮断しない!
またテストボタンを押しても「漏電ブレーカーが遮断しない!」というトラブルが発生する場合があるかも知れません。
そんな時、原因として考えられるのは「アースがちゃんと取れていないのではないか?」という事と
もう一点はコンセントの極性が逆になっている可能性が高いという事があります。
普通、コンセントを正面から見ると左側の差込口が長い方が接地側(※N又はW)で、もう一方の短い方が非接地側(電圧側)になります。
しかし設置工事の段階で配線の接続を間違えてしまうと、本来ならば接地側のはずがその逆の非接地側の極性になり
非接地側が接地側の極性になってしまいます。
普通、N=ニュートラル・W=WHITE(電線の白側)なので
上記のように極性の反転しているコンセントに感震ブレーカー(震太郎)を挿し込んでも
正常に作動(疑似漏電信号が出力されない)しません。
こういった場合は、コンテスターという検査器を使用する事で
コンセントの通電検査や極性、アースの有無等をチェックできます。
チェック後、極性が違っていると分かった場合は電線を抜き取ったあと
白線と黒線を入れ替えると正常に戻ります。
震太郎は状況によって6つの働きをする
震太郎の設置後、地震による停電発生のタイミングと家屋の倒壊等によって
次の6つの動作機能に違いがあるので説明します。
感震動作機能
この機能は地震波を感知したあと本体の警報スピーカーから3分間にわたって警報音が鳴り
その後に主幹ブレーカーを遮断します。
なぜ3分後に主幹ブレーカーを遮断するかというと、もし夜間に地震が発生したとしても
室内がすぐに真っ暗にならないようにするためです。
そしてその間に懐中電灯や避難時に必要な物、また避難経路を確保しましょう。
また先の警報音の鳴り方には違いがあり、始めの2分30秒間は遅い断続音(ピーピーピー)で警報し
残りの30秒間は早い断続音(ピッピッピッ)で警報します。
リセット機能
リセット機能は、地震感知後3分以内にリセットボタンを押すことにより警報と主幹ブレーカーの遮断を解除停止できます。
地震波感知記憶機能
地震波感知記憶機能は、地震波を感知後3分間は警報音を断続して鳴らしていますが
もしその3分以内に停電が発生した場合、感震ブレーカーは漏電信号を出す事ができません。
よって主幹ブレーカーは遮断されることなく「ON」状態を保ったままになります。
そのあと停電が復旧するのと同時に感震ブレーカーは漏電信号を出し、主幹ブレーカーを遮断するという動作をします。
これは主幹ブレーカーが遮断される3分以内に停電が発生したことを感震ブレーカーが記憶しており、二次火災を防止するための機能です。
停電補償機能
停電補償機能は停電が発生した後、8秒以内に地震波を感知した場合、主幹ブレーカーは遮断されずONのままになっています。
そしてそのあと停電が復旧するのを機に、自動で主幹ブレーカーを遮断し2次火災を防止します。
家屋倒壊感知機能
家屋倒壊感知機能は、家屋の急激な傾きや倒壊を感知して主幹ブレーカーを即時遮断します。
テスト機能
テスト機能はテストボタンを押すことにより、感震動作機能と同様の動作を強制的に実施できます。
以上、アース付きコンセントに差し込むだけで、誰でも簡単に高機能な感震ブレーカーシステムが構築できます。
お住いの地域環境を考慮したうえで採用しましょう。